出田眼科病院診療棟 増築工事

2025年  熊本市  鉄筋コンクリート造3階建て  延床面積:392.24㎡

熊本市中央区にある出田眼科病院の増築工事です。

既存建物の西側敷地を病院が取得され、そこに病院を増築するというものです。ただこの計画には条件があり、敷地内の正面道路側に建っている古民家は、この工事完了後にリノベーションして活用するため、取り壊しは不可ということです。そうなると古民家の奥で増築工事を行うには、この敷地西側の細い通路を利用するしかありません。ただこの通路は計画地の奥にあるお寺へ繋がるただ1本通路で、先ほどの保存する古民家と隣地建物に挟まれた通路幅は最小値で約2.5ⅿです。これはトラックでいえば2t車がギリギリ通れる寸法で、大型の建設重機が敷地内で使えない、ということを意味します。そこで杭打機は敷地に搬入可能な最小の重機で計画し、その機種で施工可能な細い鋼管杭を50本打つ設計にしました。また建築資材は施工会社の判断で資材を古民家前からクレーンで吊り上げ、古民家の上空を通して敷地に搬入することにしました。

増築部分は将来リノベされる古民家の裏になり、正面道路からは建物上部しか見えません。そこで古民家の背景として馴染むように、外壁は和瓦に近い色を選定し、縦格子をイメージして縦スリットの外観としました。増築規模は決して大きくないのですが、かなり施工が難しい建物でした。