壺川の家

2020年 熊本市 木造2階建て 延床面積:136.04㎡(41.15坪)

熊本市の丘陵地に建つ住宅ですが、諸条件が重なり設計依頼から建物完成まで4年半かかりました。一般の住宅設計でこれだけ時間を要したのは初めてですが、主な要因は次の2点です。

・基本計画中に熊本地震が発生し、敷地北側の石垣(高さ約5m)が崩落したこと。

・もともと古い街区で、敷地境界の確定に時間を要したこと。

崩れた石垣の復旧は熊本市が行うことになり、その完成を待ってこちらの旧建物を解体。その後に今回の建築工事という流れになり、建物完成まで時間がかかった訳です。境界確定についても、東西南北の全てに必要となる珍しいケースでした。建物は木造の2階建てですが、東側に窓を設けたロフトがあります。傾斜地なので東側隣家はこちらより約1.5ⅿ下った地盤に建っています。そこで施主より東の眺望を楽しめるロフトの希望がありました。確かに熊本都心部や阿蘇を見渡せそうです。ただ1.5ⅿの段差では隣家屋根も視界に入ってくるので、近景を見下ろすというより遠景を楽しめるロフトになりました。本をたくさんお持ちなので、このスペースが絶好の読書コーナーになることでしょう。